私たちは、食べた栄養素をエネルギーにして、身体を動かしています。エネルギーを産生できる栄養素は、タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate,糖質ともいう)のたった3種類しかありません。
1日当たりのエネルギー消費量は、年齢や身体活動量によって若干異なりますが、概ね成人男性は2,300~3,000 kcal程度、成人女性は1,700~2,300 kcal程度となっています(日本人の食事摂取基準から)。
40歳女性の場合
ウォーキング 30分 102kcal
掃除機がけ 15分 48kcal
カレーライス 859kcal
醤油ラーメン 470kcal
どの栄素素をどれくらい摂取するのがよいのか?ちょうど良いバランスとして、タンパク質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%と目安が示されています。これを、それぞれの栄養素の頭文字をとってPFCバランスと言います。
具体的な量は産生熱量(タンパク質と炭水化物は1 gあたり4 kcal、脂質は9 kcal)から計算すると、男性では、タンパク質75~150 g、脂質51~100 g、炭水化物288~488 g、女性では、タンパク質55~118 g、脂質38~78 g、炭水化物213~382 gとなります。
ということで、1日に必要な脂質量はおおよそ50~80gとなりますね。
どの栄養素からどれくらいのエネルギー取っているのか、みなさん意識したことはありましたか??
まずは、手に取った食品にはどのような栄養素が含まれているのか、知ることが大事ですね。
お買い物する時に、栄養表示をチェックしてみてください。
栄養表示基準というルールで、含まれるエネルギー量や栄養素などが記入されています。ただ残念なことに、日本では「脂質」はこれ以上細かく分類されていません。海外では脂肪酸の種類まで分けて表示されています。
<イメージ例>
海外の栄養成分表示 「Fat」が脂質の項目
日本の栄養成分表示
なので、原材料名まで確認することにしましょう!多く含まれる順に書かれています。 脂質源となる材料がえごまやアマニ、魚介類でなければ、その食品の「脂質」にはオメガ3系脂肪酸(ω3系脂肪酸)はほとんど含まれていないということです。
唯一、「脂質」だけは選択できる栄養素ですが、もう少し消費者に分かりやすい表示にして欲しいものですね。脂肪酸の詳しい説明は、これから少しずつ解説していきます。
◆あぶら博士プロフィール
*守口 徹 先生(薬学博士)
麻布大学 生命・環境科学部 教授
日本脂質栄養学会 理事長
*原馬 明子 先生
麻布大学 生命・環境科学部 特任准教授
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