コレステロールは、かつて動脈硬化や心疾患などの循環器系疾患の原因の一つに考えられていました。そのため、「コレステロール」と聞くと、とにかく悪者のように扱われてしまいがちですが、細胞膜の構成成分であり、細胞の活動に重要な役割を果たしています。
コレステロールは脂っこいものを食べたときに放出される胆汁酸や(ステロイド)ホルモン、ビタミンDの材料にもなっています。コレステロールを多く含む食材には、レバーや魚卵、鶏卵、乳製品などがあり、これらの食品から吸収するだけでなく、必要に応じて体内でも合成しています。
さらに血液中のコレステロールは肝臓に運ばれると一部は胆汁酸へと作り変えられ、消化管へ放出されて脂質の消化吸収のために働き、排泄されることなく再び腸管で再吸収されるほど、体内では必要な物質です。
そのため、肥満や家族性高コレステロール血症のような異常な高値を示す疾患であったり、肝臓での分解が追いつかないほど毎日大量に摂取し続けなければ、それほど怖がるものではないと言われています。
◆あぶら博士プロフィール
*守口 徹 先生(薬学博士)
麻布大学 生命・環境科学部 教授
日本脂質栄養学会 理事長
*原馬 明子 先生
麻布大学 生命・環境科学部 特任准教授
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