オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の油は体内では作ることのできない必須脂肪酸なので、食事から摂る必要があります。しかし、オメガ6系脂肪酸は加工食品や菓子類に隠れ油脂として多く含まれていますので、知らないうちにたくさん摂取している可能性があります。
このようなことから、「油脂」の中でも、オメガ3系脂肪酸は積極的に摂取してもらいたい油であること、オメガ6系脂肪酸は意識して控えた方がいい油であることをお話してきました。
では、どれくらいの量を摂ればよいでしょうか。
オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は体内で競合的に働きます。 また、オメガ6系脂肪酸が過剰になると炎症を亢進し、オメガ3系脂肪酸の働きを邪魔してしまいますので、この2つの油は摂取バランスが大事になります。
理想値としては、オメガ3:オメガ6=1:2~4とされています。比率ではなかなかわかりづらいですよね。日本人は、他の国と比較して、オメガ3系脂肪酸であるDHAやEPAを豊富に含む魚介類をたくさん食べてきました。しかし、最近ではその消費量が減ってきており、若齢層ではオメガ3:オメガ6=1:20にまで上昇しているとも言われています。
理想値に近づくためには、魚介類であれば週に3回以上、α-リノレン酸を含むえごま油やアマニ油なら毎日小さじ1杯(4 g)は摂ることを心がけてください。
◆あぶら博士プロフィール
*守口 徹 先生(薬学博士)
麻布大学 生命・環境科学部 教授
日本脂質栄養学会 理事長
*原馬 明子 先生
麻布大学 生命・環境科学部 特任准教授
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