インフルエンザやウイルスなどから体を守るために大切だと言われている免疫力。この免疫力、実は腸が大きな鍵を握っています。今回のコラムでは腸と免疫力の関係をお伝えします。
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腸には体の60%以上の免疫細胞が集結しています。多くの病原体は口から入り、腸などを通して体内に侵入してきます。その病原体から身を守るため、腸にはウイルスなどを殺すキラーT細胞など多くの免疫細胞が集まっています。腸は体の門番のような役割をしており、整えることで有害なものを体内に入れないように私達を守ってくれます。
ビタミンACE、にんにく、納豆、あおさなど免疫力を高めると言われる食品が話題になっています。例え、どんなにカラダに良いと言われる食品を食べたとしても腸が整っていなければ適切に吸収できず、排泄されてしまいます。免疫力を高める食材を食べるよりも先に腸を整え、栄養素を吸収できる状態にすることが大切です。
腸も年齢とともに老化します。それにより腸内の善玉菌の割合が減り、悪玉菌が増えやすくなります。悪玉菌が増えると、ウイルスなどに抵抗する免疫力が弱くなります。
老化するのは他の臓器も同じですが、腸は『食べ物』により『腸内細菌のバランス』を変えることができます。これにより、善玉菌を増やすことができ、免疫力を高い状態で保つことができます。
腸は幸せホルモンと言われる『セロトニン』の9割を作っています。
腸内環境が整うことでメンタルが上向きになるため、楽しいという感情を感じやすくなります。その結果、笑うことが増え、免疫力が高まることに繋がると考えられています。
腸は他の臓器と異なり、毎日状態を確認することができるのも大きなメリットです。色・形・におい・量などを観察することで効率的に腸内環境を整えることができます。良い状態とそうでない状態の便状態を知り、まずは自分の状態を確認してみましょう。
*良い状態の便
・色:黄色に近い
・におい:少ない
・量:バナナ1本分以上
*良くない状態の便
・色:黒っぽい
・におい:きつい
・量:バナナ1本分以下
※便に血が混ざっている場合や急に便秘になった場合は病気のリスクが隠れていることもありますので、まずは病院に行くことをおすすめします。
ベストな状態を目指すのではなく、今より良い便の状態を目指すだけでも免疫力は高まります。まずは毎日観察をして自分の状態を把握してみましょう。
次回は、腸内環境を整え免疫力を高める食生活の工夫をお伝えします。
◆加勢田 千尋さん(管理栄養士)
腸専門の食育学校を運営する
「一般社団法人CHO-JIN食育協会」代表。
腸の専門家として、薬やサプリメントに頼らない
腸を元気にする食事法を発信している。