腸内には数百種類、100兆個以上もの腸内細菌が存在します。この腸内細菌の中には、人をやせやすくする通称『やせ菌』と太りやすくする『デブ菌』が存在します。この2つの菌は常に勢力争いをしていますが、やせやすい体をサポートする『やせ菌』を増やすためには、同時に『デブ菌』の割合も減らしていくことが大切です。
今回のコラムでは『やせ菌』が増えやすい食生活の方法をお伝えします。
腸内細菌は食品添加物が苦手。多く摂りすぎると腸内細菌のバランスが乱れ、『デブ菌』が増えてしまう可能性があります。特に、乳化剤は腸内で炎症を起こす可能性が指摘されており、摂りすぎには注意が必要です。また、保存料は腸内細菌を減らしてしまう可能性があるので、減らすことができるとベストです。
『やせ菌』は野菜や果物に含まれる食物繊維を摂ることで増えやすくなります。また、食品添加物や腸内の老廃物を吸着し、体外への排泄も促してくれます。厚生労働省では、1日当たり350g以上の野菜摂取が推奨されています。生の野菜だけだとカサが多く食べにくいので、野菜をたっぷり入れた具沢山のお味噌汁やスープなどを日常で取り入れると上手に食物繊維を取ることができます。
『デブ菌』は油の多い食事を好むことが分かっています。ポテトチップスなどのスナック菓子の食べすぎには注意が必要です。また、調理方法によっても油の量が大きく異なります。揚げ物や炒め物は油を多く使う調理法なので、ゆでる、蒸す、生などの調理法を選択することが大切です。腸は酸化した油も苦手なので、調理をしてからなるべく早く食べることもおすすめです。
腸の動きが活発になるのはリラックスしている時です。どんなに腸内細菌に良い食べ物を食べても、リラックスをする時間が少ないと体内で活用されにくくなってしまいます。睡眠時間は、一般的に病気のリスクが下がると言われている6~8時間程度確保することがおすすめです。もし睡眠時間を確保することが難しい場合は、お風呂にゆっくり浸かったり、リラックス作用のあるハーブティーなどを飲んだりして、リラックスできる時間を増やしていきましょう。
『やせ菌』はお酢を好み、毎日摂ることで増えやすくなると言われています。また、内臓脂肪を減少させたり、血糖値の急上昇により脂肪蓄積を防いだりなど、やせやすい体作りのサポートをしてくれます。効果的な摂り方は、1日大さじ1杯程度、食前がおすすめです。
また、効率的に『やせ菌』を増やすためには良質なお酢を摂ることも大切です。原材料表示を見て『米』のみ記載されているものを選ぶようにしましょう。
いかがでしたか。『やせ菌』は日々のちょっとした工夫で増やしていくことが可能です。
毎日コツコツと続け、やせやすい体作りをしていけるとよいですね。
◆加勢田 千尋さん(管理栄養士)
腸専門の食育学校を運営する
「一般社団法人CHO-JIN食育協会」代表。
腸の専門家として、薬やサプリメントに頼らない
腸を元気にする食事法を発信している。