「脳」と聞くと、漠然としたイメージで、とても大切な働きを担う臓器と思う人が多いと思います。物事を考えたり、手足を動かしたり、無意識ですが生命を維持するために内臓を動かす指令を出したり。
では、そんな大事な働きをしてくれる「脳」は何でできているのでしょうか? たんぱく質?炭水化物? 水分を除くと実に65%が脂質で、他の臓器に比べて脂質の割合が多く、とても柔らかい臓器なのです。絹ごし豆腐よりも柔らかい感じです。意外でしたか?
その柔らかさは多価不飽和脂肪酸の多さにあります。
特にオメガ3のDHAとオメガ6のアラキドン酸です。
食生活でオメガ6が不足することはあまり考えられませんが、オメガ3を多く含む食材は限られているので、意識しないと不足気味になることは簡単に想像できると思います。そのような食生活を続けていると、脳内のDHAも減少し、本来の機能を充分に発揮できない状態になってしまいます。その一例が、物忘れや認知症であったり、イライラや落ち込みなどのメンタルにも影響したり。今年はコロナ禍で外出を控え、普段以上にストレスが溜まり、気が滅入る方も増えているようです。世の中の環境がガラリと変わって、その変化になかなか対応できていない毎日ですが、脳内の環境は健全な状態が保てるように、いつもオメガ3が満たされている必要があります。
来月からは脳機能とオメガ3の関係について、もう少し細かくお話していきたいと思います。
◆あぶら博士プロフィール(詳しくはこちら)
*守口 徹 先生(薬学博士)
麻布大学 生命・環境科学部 教授
日本脂質栄養学会 理事長
*原馬 明子 先生
麻布大学 生命・環境科学部 特任准教授
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